「経営者のプロ化」時代の到来とエグゼクティブのキャリア|2016年|ニュース&コラム|転職・求人はマイナビ エグゼクティブエージェント
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「経営者のプロ化」時代の到来と
エグゼクティブのキャリア

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プロ経営者同士のバトンタッチ

終身雇用制の適用が根強い日本企業の経営者は、大多数が内部昇格です。そのため欧米と異なり、複数の企業を渡り歩くプロ経営者は、ほとんど見ることができませんでした。しかし近年、この傾向が少しずつ変化してきています。

この変化を象徴するものとして、プロ経営者同士によるバトンタッチの実例があります。
昨年12月、住宅設備機器メーカー大手のリクシル(株式会社LIXIL)で、藤森義明社長兼CEO(最高経営責任者)の退任が発表されました。彼は2011年に外資系企業のトップから転身した人物で、典型的なプロ経営者でした。

藤森氏と同様、後任もプロ経営者です。住友商事(住友商事株式会社)と米・グレンジャー社(Grainger International, Inc.)が共同出資で立ち上げた新会社モノタロウ(株式会社MonotaRO)でトップを務め、同社の上場を主導した経歴を持つ瀬戸欣哉氏が後任に就きました。

いよいよ「経営者のプロ化」の時代が到来しようとしています。

活躍が目立ち始めているプロ経営者

同社以外にも、複数の企業を渡り歩くプロ経営者の活躍が目立つようになってきています。彼らの共通点は、外資系企業で実績を残しているということです。

たとえば、菓子メーカーのカルビー(カルビー株式会社)では、2009年に就任した松本晃・現CEOの手腕により、2年後に東証1部上場を果たしました。現在も増収増益を続けています。

業界大手である同社では、上場前からグローバル化が経営課題となっており、外資系企業での経営実績がある同氏がCEOとして招聘されたのでした。

外資系企業出身者以外の「経営者のプロ化」の実例として、ローソン(株式会社ローソン)からサントリー(サントリーホールディングス株式会社)への転身というものもあります。
三菱商事(三菱商事株式会社)での新規事業プロジェクトの実績を評価された新浪剛史氏は、ローソンの社長に登用され、約10年間、経営者として辣腕を振るいました。その実績が評価され、今度はサントリーの社長に就任し、今も経営手腕を発揮しています。

プロ経営者を目指すためのキャリア開発

今後、プロ経営者のニーズが高まっていくことが予想されます。エグゼクティブ層、およびその予備軍となる人材にとって、プロ経営者を目指してキャリアを設計することは、選択肢を大きく広げることにつながります。

プロ経営者を目指す上での近道は、外資系企業で経営実績を残すことです。
現在、活躍しているプロ経営者の多くが外資系企業の出身ですが、その理由は、外資系企業が持つ、ある特徴のためです。

その特徴とは、優秀な人材を選抜し、幹部候補として長期的な教育を行うシステムです。いわゆる「エリート教育」のような制度で、日本企業ではほとんど見られないものです。

たとえば、GE(日本GE株式会社)やJohnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社)、IBM(日本アイ・ビー・エム株式会社)などといった企業がこういったシステムを持つ外資系企業の代表格になります。

プロ経営者を志してキャリアを描く場合、まずは外資系企業に就職し、幹部候補として認められることが近道となるでしょう。

また、外資系企業で「エリート教育」を受ける以外にも、プロ経営者になる方法があります。
先述した新浪剛史氏のように、新規事業プロジェクトに参画して実績を残すことは、その1つになります。まずは新規事業プロジェクトに参画する機会を得られるよう、社内、あるいは事業部内で適切なポジションをとっておくことが重要になります。

本格的な「経営者のプロ化」が今まさに始まろうとしている日本。エグゼクティブ層、その予備軍の人たちにとって、「プロ経営者」になる道を歩むことは、その先の可能性を大きく広げることにつながります。

そういった将来を見据えて、長期的な計画のもとに今後のキャリアを考えてみてください。

AUTHOR山田 豊文(やまだ とよふみ)

1985年、株式会社日本能率協会コンサルティングに入社して以来、約30年間、経営コンサルティング及び人材育成に従事。2012年に独立、現在は株式会社プロセスイノベーションの代表取締役。東証一部上場企業から中小・ベンチャー企業、メーカー、商社、ITベンダー、サービス業など様々な規模や業種の企業を幅広く支援。得意なテーマは営業力革新、事業計画立案、コーチング。複数の部門を横断的にプロジェクト展開することによって、3年以上にわたる中長期な支援の実績が多い。中小企業診断士、キャリア・コンサルタント。

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