エグゼクティブほど健康に関心がある
経営者としての自覚は健康管理に表れる
私が企業の秘書として担当していたエグゼクティブに関して、健康管理のために何か特別なことをしているのか他部署の方に聞かれたことがあります。そのエグゼクティブは元気なイメージの外国人男性だったので、質問した方は純粋に興味があったのではないかと思います。ちなみに、そのエグゼクティブはスポーツ万能、ゴルフでもスキーでもなんにでもチャレンジするタイプで、いつも明るくて元気そのものでした。一方で、体格が良くやや太めだったのを気にしていたようで、会社の代表としてビデオ撮影をすることが決まった時にカメラ映りを気にしてか、ついにダイエットを決行。集中してジムに通い、食事制限もして、撮影時までの数ヵ月ですっきりとシェイプアップしていたのには驚かされました。従業員の間からも「すごい!」「さらにかっこよくなった」などと称賛の声が上がり、本人もまんざらでもない様子でした。エグゼクティブとして、カメラ映りのことだけではなく、健康管理の重要性も良く理解しているからこその行動と成果なのでしょう。
経営者の健康は従業員の健康と関連性があるか
言うまでもなく、経営者が健康であることは会社にとって非常に大切です。欧米では、自分の健康管理ができない人にマネジメントは任せられないと言われるようになって久しいですが、特にアメリカでは肥満であると昇進の際に不利だと言われています。日本でも肥満であることによって脂肪肝、痛風などの病気にかかるリスクが高まるといったデータがはっきりと出ています。最近では、2008年から特定健康診査、いわゆるメタボリック検診が国の健康診断に導入されるなど、健康への関心は高まる一方です。
経営者の健康と従業員の健康の関連ということでいうと、経営者が健康を気遣うことにより、従業員全体の健康への意識が上がることが挙げられます。冒頭で挙げたダイエットに成功したエグゼクティブの例もそうですが、例えば休憩時間に飲んでいたカフェインの多い飲み物を進んでミネラルウォーターやハーブティーに変えたり、運動の習慣を自らの行動によって示したりすると、従業員の健康への意識が自然に向上してくるのではないでしょうか。
経営者が健康で仕事をこなせないと、会社としての営業活動に良くない影響が出ます。例えば、取引先との重要な会議に急に病気で欠席するなどということは極力避けたいものです。
経営者が健康だとこんな良いことがある
経営者が健康だと、社員にとっての良いお手本になります。健康でないといいアイディアは浮かばないですし、体調が良くなければリーダーとして堂々とした態度を示せずに、仕事ぶりもぱっとしないでしょう。
私がされた質問からもわかるように、従業員は思った以上に経営者の様子に関心を持っているものです。経営者が健康であることは、従業員の健康への意識向上に直結する要素と言えるのではないでしょうか。
また、株価への影響という面から見てみますと、2015年の春から経済産業省と東京証券取引所がタッグを組んで、従業員の健康増進に投資した企業の中から「健康経営銘柄」を選出しています。これに選ばれるためには、「健康経営度調査」の総合評価の順位が上位20%以内であることが第一条件だということです(2016年は25社が選定されました)。経営者と従業員が健康であることは投資家へのアピールになり、これからの会社経営の重要なポイントでもあることは間違いないでしょう。
経営者が健康であるということは、考えている以上に広範囲に大きな影響を与えるということが言えると思います。