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経営コンサルティング業界の魅力と選択肢

コラム

権威の重要性と拠り所

経営コンサルティングにおいては、クライアント(顧客企業)に対する権威が重要です。クライアントはコンサルティング・ファーム(経営コンサルティング会社)の権威を認めたうえで、経営に関する提言を受け入れることになります。コンサルティング・ファームの権威は、実績が拠り所で、経営コンサルティングは機密保持が前提であるため、実績を知ることはクチコミに依存することになります。またコンサルタントは、1人1人が商品と見なされる傾向が強く、コンサルタント個人としての権威も必要です。データ分析やファシリテーションといった仕事ぶりを通じて、結果的に個人の権威が築かれますが、コンサルティングの開始時点では経歴が拠り所になります。例えば世界的な有名企業での勤務実績、MBAの取得などです。3月下旬、週刊誌で自称、経営コンサルタントの経歴詐称が暴かれましたが、このことから経営コンサルティング業界の特徴がわかります。

期待される成果と役割

経営コンサルティング業界では2つの成果が期待されます。1つ目はクライアントの業務に貢献すること、2つ目はコンサルティング・ファームの業績を高めることです。特に、エグゼクティブが経営コンサルティング業界で活躍する場合には、コンサルティング・ファームのパートナー(幹部)として2つ目の成果が期待されます。1つ目の成果、既存のクライアントに貢献して評価されることが2つ目の成果の基礎になりますが、中でもエグゼクティブは既存のクライアントでの新しいテーマや新しいクライアントの開拓が求められます。既存のクライアントでの新しいテーマは、従来のテーマで成果を上げることがベースになります。一方、新しいクライアントの開拓は、コンサルティング・ファームとコンサルタント個人の両方の権威が必要になります。具体的には、コンサルティングの成功事例を、クライアントの顧客に生々しく語ることが開拓の決め手になることが多々あります。成功事例の説明によって、このコンサルタントに頼みたいと考えるためです。

新しいクライアントの開拓に注力することは、コンサルティングの現場に足を運ぶ機会を減らすことになります。新鮮な成功事例を生々しく語るには、コンサルティングの現場を訪れることが必要であるため、新しいクライアントの開拓のために、長い期間成果を上げ続けることは難しくなります。

キャリア開発における選択肢

経営コンサルティング業界の仕事はハードですが、それに見合った高い報酬が約束されます。しかし、前述のとおりパートナーとして、新しいクライアントの開拓で成果を上げ続けることが難しくなってしまうため、キャリアチェンジが必要になる場合があります。具体的には大学教授や有力企業の経営者などへの転身が考えられます。キャリアチェンジ成功の代表例には、早稲田大学の教授を兼務しているE氏、外資系コンサルティング・ファームから東証1部上場の専門商社の社長に転身したM氏がいます。こうした魅力的なキャリアチェンジを可能にする経営コンサルティング業界を、キャリア開発のための一歩として選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

AUTHOR山田 豊文(やまだ とよふみ)

1985年、株式会社日本能率協会コンサルティングに入社して以来、約30年間、経営コンサルティング及び人材育成に従事。2012年に独立、現在は株式会社プロセスイノベーションの代表取締役。東証一部上場企業から中小・ベンチャー企業、メーカー、商社、ITベンダー、サービス業など様々な規模や業種の企業を幅広く支援。得意なテーマは営業力革新、事業計画立案、コーチング。複数の部門を横断的にプロジェクト展開することによって、3年以上にわたる中長期な支援の実績が多い。中小企業診断士、キャリア・コンサルタント。

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