手を抜いているように見えるのに評価が上がる?!
その秘訣とは?
要領のいい「力の抜き方」を知っているエグゼクティブはジタバタしない
一見してあまり忙しそうに働いていないように思えるものの、成果も上げているし非常に評価されているエグゼクティブが存在します。つまり言い換えると、限られた時間で最大の成果を上げる「時間当たりの生産性」が高いタイプの人ともいえます。
外資系企業は特に、高いポジションになればなるほど忙しくなる傾向があります。ですから、このタイプは必要とされていると言えるでしょう。まず、仕事の作業スピードが速いことに加え、こういったエグゼクティブにはもう1つの大きな長所があります。それは要領のいい「力の抜き方」を心得ていることです。
完璧主義タイプよりも、手抜きに見えるタイプのほうが有利な理由
「力の抜き方」を心得ている、すなわち手抜きに見えるタイプというと印象が良くありませんが、仕事の全体像を見通しているのは手抜きタイプと言えます。対して、完璧主義タイプは、優先順位をつけることなく目の前の仕事に当たるため、常に仕事に追われる傾向があります。仕事の内容の重要度にかかわらず完璧を目指そうとするためです。一方、手抜きタイプは常に全体像を見て、重要なところだけに入念な準備をしています。
筆者が知っているエグゼクティブの例ですと、まさにこの手抜きに見えるタイプの方を秘書として担当したことがあります。その方は役員だったこともあり、常に出社しているわけではありませんでした。秘書としては、大まかなスケジュールを把握しているものの、完全には出社・退社時間が読めず、その点では時々困ることがありました。その手抜きに見えるタイプの役員は、どうしても自分でなくてはならない来客や(ほとんどの来客は営業担当部長に任せていました)本当に会社にとって自分の出席が必要な会議以外は出席せず、重要な戦略立案等、自分でなくてはできない業務に全精力を傾けていました。一方で、個別に自分の部下が相談に来るときは時間を取って親身に対応しており、暗い表情で現れた部下が役員のアドバイスを得て、笑顔で役員室を後にしている様子をよく見かけました。こういった対応から、この役員は時間の使い方が非常に上手だという印象を受けました。
ブログ「Psychology Today」の中で、心理学者として20冊以上の著書を持ち、またコンサルタントとしても米陸軍など多数の組織を対象に活躍している、Bill Knaus博士は、「完璧主義者はどんな状況においても完璧を目指すあまり、不測の事態をベースに考えているのが問題だ」と言っています。つまり、労力を要する業務に直面すると、間違いなく2つの極端な方向に引き裂かれてしまい、全てをやりきるか、全てをあきらめるかであり、完璧主義者はこうして多くの仕事を先延ばしにする傾向があると言えるとのこと。一般的な企業では、失敗を許さないような完璧主義的な傾向があります。しかし、失敗を避けようとするあまり多くの事柄が先延ばしになるとしたら、それは企業にとって良いことだとは言えません。
手抜きタイプの成功の秘訣はまずスタートしてみること
エグゼクティブらしくないと思われるかもしれませんが、走りながら考えるような、成功するエグゼクティブとしてのやり方とはどういうものでしょうか?前述したように完璧主義タイプは、仕事の計画を詳しく立てた上でその通りに遂行しようとします。これにより、仕事がなかなか進まないといったことが起こります。一方、手抜きタイプは、大体の計画ですぐスタートし、状況に応じて柔軟にプランを修正しながら進めます。もし、途中で問題があるようなら早めに決断し、見切りをつけることができます。つまり、成功の秘訣はこういった柔軟さや判断力にあるといえます。