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海外エグゼクティブのオン・オフの切り替え方に学ぶ

コラム

外国人エグゼクティブはオン・オフの切り替えが巧み

外国人エグゼクティブと接していると、彼らはどんなに忙しくてもなぜか余裕があるな、と感じるときがあります。たとえば、秘書が何らかの急ぎの案件で「どうしよう!報告しなければ!」と慌てふためいて上司のオフィスに駆け込むようなとき、まさしく危機的状況だと秘書本人は思っていても、外国人エグゼクティブ達は平然としています。彼等は、起きたことに関しては気にしておらず、次にどうするかの方に気持ちが移っているからです。さらに、秘書に励ましの言葉をかける余裕まであったりします。突然、重要なアポイントが先方理由でキャンセルになった際も、「ちょうど今日オフィスにいる○○さんと話したかったから、キャンセルになって時間が取れて良かったよ!」と、非常にポジティブに受け止めます。しかも、アポイント前のピリピリした状態から一転してリラックスムードに変化します。

そういったことが重なると、この心の余裕はいったいどこから来るのだろうと感心しつつも、不思議に思うようになりました。もっと大変な場面を多く体験していることによるのか、そもそも外国人でもあることだし感受性の基準が違うのでしょうか。あるいは動じない習慣を身に着けたからエグゼクティブになることができたのでしょうか。このスイッチをオン・オフするかのごとく、気持ちを切り替える秘密を知りたいと思いました。

最大のパフォーマンスを上げるために必要なこと

エグゼクティブは常に自分のパフォーマンスを最大化することが自分の役割だと認識しています。これは事実です。会社の顔としていつも完璧である必要があるからです。また、彼らが何か新しいアクションをとる場合、大胆に思いつきで行っているように見えて、実は緻密な計算がされています。あらゆる要素を逆算して考えており、無理なことは最初からしません。とにかく大切なことは、優先順位を決めて、それ以外はしないということです。実際、多忙なのでそもそも優先順位をつけないと仕事がこなせないという事実はありますが、そのブレのなさには本当に感嘆します。

ある外国人エグゼクティブのオン・オフの区切りが本当にはっきりしている例として、オフ(休暇中)は一切メールに返信しないという人がいました。外資系企業(多国籍企業)の面白いところは、社内・取引先問わず海外の方に、上司が休暇中で連絡がつかないと告げると、あっさり簡単に納得すること。そしてそれ以上は無理に依頼してこない点です。「休暇中です」という一言は外国人相手に状況を説明するには伝家の宝刀とも言えます。

「今、ここ」に集中することの大切さ

スティーブ・ジョブズが行っていたとして注目されている瞑想やマインドフルネスですが、心身の健康、仕事のパフォーマンス向上のために取り入れている企業が目につくようになりました。実際に、仕事に良い影響が出ているという感想も耳にします。一方で、本当の意味での「生活の中で瞑想をすること」とは、わざわざ時間を取って習いごとのクラスで目をつぶってするということよりも「目の前の、やるべき、一つのことに集中することである」とも言われています。

そういう意味では外国人エグゼクティブ達は、仕事中は常に瞑想状態なのではないかと考えられます。なぜなら目の前のことに集中してブレることがなく、一つ一つのことに全力投球だからです。そして一通りの決断力が求められる仕事が終わり、オフになると「スイッチを切る」のです。そういったメリハリのある行動を取れるということそのものがハイパフォーマーになる資格があるということです。言い換えると、常に目の前のことに集中して、一つ一つのことに全力投球であれば、オン・オフの切り替えに悩むことも少なくなるということが言えるでしょう。

AUTHOR永田美保子(ながたみほこ)

長年のエグゼクティブ秘書経験を生かして、在宅秘書育成コンサルタント、ライター、フリーランスのパーソナル秘書として活動中。大学卒業後、自動車メーカー研究所・外資系消費財メーカーのバイリンガル秘書を経て、英国へ語学留学。その後フィンランドのヘルシンキに駐在し、シリヤライン(現タリンクシリヤ)の定期航路大型客船にてキャビンアテンダントとして乗務。

帰国後は外資系企業・合弁企業を中心としてエグゼクティブ秘書業務に2014年10月まで携わり、秘書歴は通算約20年に及ぶ。エグゼクティブ秘書として担当した上司は多国籍にわたり、外国人上司の国籍は英国・米国・台湾・ベルギー・カナダ・オーストラリアなど。日本人エグゼクティブ付の秘書としては、一部上場企業の代表取締役専任秘書を担当。2015年4月よりフリーランスとして活動を開始。

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