エグゼクティブ層が好む“物より体験”
エグゼクティブは必ずしも高級志向とは限らない
エグゼクティブ達は仕事柄、比較的高級なレストランに行く機会が多くなります。しかし、プライベートな場面など、選択肢があって自分で決めることが可能な場合では、必ずしも高級志向ではありません。自らの基準で飲食店、イベント、旅行先などを選んでいます。また、駐在員エグゼクティブ間ではクチコミ情報もあるようで、その情報を元にお店などを探すこともあるそうです。
好奇心と想像力を満足させられるかどうかが決め手
私たち一般の日本人からみて、外国人エグゼクティブが「まさかこんなことを?!」と思うようなものに興味を持った事例を挙げてみます。
海外からのビジターが来日中に連日行われるホテルや一流レストランでのフォーマルな会食や会議。もちろんその仕事が主目的で来日しているわけですが、滞在中にやはりそれ以外のカジュアルな場所も体験したいと思う方は多いようです。
外国人の間では、クチコミでシェアされている外国人向けの居酒屋、炉端焼、焼き鳥などの飲食店情報があります。これらの店は外国人エグゼクティブたちのクチコミリストにも入っているようで、何人もの方に来日の度に場所や行き方を尋ねられました。
例えば居酒屋では外国と違って一人分ずつの独立した料理が出てくるのではなく、誰かが注文した料理を皆でシェアします。言葉が通じるので、自分で好きなように注文してシェアできる。それがとても新鮮な体験で楽しいのだと言います。
また、別のお店で有楽町のガード下にある焼き鳥店ですが、この店では七輪を使って煙を上げながら焼き鳥や魚などを焼いています。お店は高級店のようにきれいとは言い難いのですが、却ってその雰囲気が良いということで密かに人気なのです。
また、ポケットモンスター(ポケモン)が世界中で人気なこともあり、海外からのビジターで特に小学生くらいのお子様がいる方ですと、ほとんどの方がポケモンに興味津々。会議の後のフリータイムになると、「ポケモンセンターに行きたいのだけど」と尋ねてくる方が最低でも2〜3人はいました。今やポケモンセンターは東京だけで3ヵ所(※)、ポケモンショップは東京駅と成田空港(※)にできましたのですっかり便利になり、海外からの渡航者に案内しやすくなりました。
※情報は2016年時点のものです。今後、変更される可能性があります。
金額は気にしない。体験や空間そのものを楽しむことに集中
さて、好奇心のままにいろいろチャレンジしてゆくと、当初の予定通りに物事が進まなかったりお店などが混み合っていて予約ができなかったりということもよく起こります。
エグゼクティブ達の特徴として、もし予定通りに体験できなくても焦らず、また来ればよいさ、と思える心の持ち方をしているということです。やろうと思った、でもかなわなかった、ではまた次回といった、その体験をしようとすること自体にも価値を見出しているように思えます。
さらに、エグゼクティブの好むものをよく見ていますと、使う金額の多寡にはこだわらず、自分が価値を見出せるかどうかが基準となっているということが分かります。
そんなエグゼクティブに人気のあるホテルがあります。まず、京都のザ・リッツ・カールトン京都。こちらは3年ほど前に鴨川沿いにできた祇園にも近いラグジュアリーホテルです。さすがに1泊10万円以上しますが、出張などで訪れるエグゼクティブファミリー達に特に好まれています。インテリアは和風。各部屋が50㎡以上と広くて環境もよく、自然に恵まれているのに交通アクセスが良い点、程良いサービスで居心地が良いのだということです。ここに宿泊したことのある方が京都に来る予定のある友人にお勧めしているのを耳にした際はクチコミの威力を感じました。
関東に近いところでは、箱根にある、ハイアットリージェンシー箱根リゾート&スパが人気です。箱根・強羅の自然豊かな場所で東京からも行きやすい点やスパが充実していることがポイントです。温泉旅館と外資系ホテルの良いところ取りのちょうどいいサービスといえます。「自分で選べる食事」「露天風呂がないシンプルな温泉」「暖炉のあるラウンジで宿泊客だけのカクテルタイムサービス」などリラックスしながら滞在を楽しむことが出来ます。高級だからではなく、こうした空間を楽しむことそのものが、ホテルに滞在する目的の一つであるようです。
※ホテルの情報は2016年時点のものです。今後、変更される可能性があります。