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スポーツ監督に学ぶ勝てるチームのつくり方

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優勝監督の共通点

明治安田生命が毎年2月に行っている「理想の上司」に関するアンケートの結果が発表されました。エグゼクティブは部下から信頼されることが必要であるため「理想の上司」の結果は気になるところです。男性部門では、今年初めて上位10位までに入ったメンバーは5人いました。その中で最も順位が高かったのが4位に入った青山学院大学陸上部の原晋監督です。原監督は昨年の秋から今年にかけて大学駅伝3冠と箱根駅伝3連覇を達成して注目を集めています。大学駅伝3冠と箱根駅伝3連覇を同時に達成したのは、原監督が初めてです。

原監督と同様に注目すべきスポーツの監督に、昨年、チームを日本一に導いた日本ハムの栗山英樹監督がいます。栗山監督はプロ野球の発展に大きく貢献した人物に贈られる、日本球界最高の賞である正力松太郎賞を受賞しました。2人の監督にはチームを優勝に導いたことに加えて「自主性の尊重」と「新規軸の追求」といった、スポーツ業界以外のリーダーも学ぶべき2つの共通点があります。

自主性の尊重と新規軸の追求

共通点の1つ目は自主性を尊重したチームマネジメントです。2人の監督はチームのメンバーと一定の距離を取り、全体を見渡すスタイルでチームをマネジメントしています。青山学院大学陸上部は、グループ単位で自発的に行っている目標管理ミーティングを中心に計画的に練習をしており、原監督はサポーター的な役割を果たすことに徹しています。栗山監督は、何が選手のためになるのかを考えながら、選手を輝かせることを目指して指導をしないマネジメントを行っています。また監督の役割を「気づかせ屋」とう言葉で表現しています。

共通点の2つ目は新規軸を追求した戦い方です。原監督は、きょうの常識はあすの非常識という言葉を使いながら、箱根駅伝では毎年、新しい作戦を打ちだして3連覇を達成しました。1年目は「ワクワク大作戦」、2年目は「ハッピー大作戦」そして今年は「サンキュー大作戦」です。栗山監督は二刀流の大谷を投手として先発させた試合で1番打者に起用したこと、抑えの増井投手をシーズン途中に先発に配置転換した、といった斬新な選手起用で11.5ゲームの差を逆転してリーグ優勝を実現しました。

注目すべきことは2人とも就任当初から、自主性を尊重し新規軸を追求できたわけではない点です。就任6年目の栗山監督は、1年目に選手に考えさせるベースをつくることから着手しました。就任14年目の原監督は、現在をステージ4「サポーター型」と位置づけています。就任当初は選手1人1人をきめ細かく教育するステージ1「命令型」、学年単位に指示するステージ2「指示型」、そして方向性を明示するステージ3「投げかけ型」と段階的にマネジメントスタイルを変更することで勝てるチームづくりに成功しました。

エグゼクティブにとっても必要な自主性と新規軸

エグゼクティブが勝てるチームをつくっていくためにも、自主性と新規軸の2つの要素は必要です。自主性を尊重するスタイルのマネジメントを行うことで、エグゼクティブはチームをきめ細かく指導する必要がなくなり、新規軸を追求した方針を策定する時間的な余裕をつくり出せます。競争相手の動向や環境の変化に適合した新規軸の方針を打ち出すことがチームの成績を高めることに結びつきます。

自主性を尊重するスタイルのマネジメントを行うには、「指示」と「動機づけ」を組み合わせて段階的にチームを成長させることが必要です。初期の段階では「指示」中心のスタイルでマネジメントすべきです。メンバーの能力よりも意欲が先に高まるため、さらに意欲を高めるために「動機づけ」を増やします。しかし「指示」をすぐに減らすことは禁物です。そしてメンバーの仕事ぶりやチーム全体の成績が向上してくれば「指示」を減らし、自主性を尊重できる段階に移行します。そして最終的には「動機づけ」も控え目にすることができる段階になります。

勝てるチームは一朝一夕につくることはできません。2人の優勝監督のチームづくりを参考にして、メンバーを成長させながら自主性の尊重と新規軸の追求を通じて、勝てるチームづくりに挑戦して下さい。

AUTHOR山田 豊文(やまだ とよふみ)

1985年、株式会社日本能率協会コンサルティングに入社して以来、約30年間、経営コンサルティング及び人材育成に従事。2012年に独立、現在は株式会社プロセスイノベーションの代表取締役。東証一部上場企業から中小・ベンチャー企業、メーカー、商社、ITベンダー、サービス業など様々な規模や業種の企業を幅広く支援。得意なテーマは営業力革新、事業計画立案、コーチング。複数の部門を横断的にプロジェクト展開することによって、3年以上にわたる中長期な支援の実績が多い。中小企業診断士、キャリア・コンサルタント。

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