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デジタルとアナログをうまく組み合わせるのが効率的な仕事のコツ

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時間と場所を選ばないデジタル化は、働く人にとって本当に便利?

エグゼクティブ担当秘書として働いていたとき、印象的だったことのひとつに、ここ10年ほどの間にあらゆるデータのデジタル化、電子化が急速に進んだことがあげられます。
そして、そういった変化を受け入れて活用する方が特にエグゼクティブには多いと感じました。それはもちろん、時間の節約になるからです。

出張の際の航空券も、秘書が出発前にオンラインチェックインし、搭乗券にしたものをメールで受信すれば余計な時間がかかりません。航空チケットだけでなく、日程表も書類の束ではなく、出張者のスマートフォンなどに収められるようになりました。

しかし、このようなデバイス機器は便利な半面、紛失、電池切れ、故障などのリスクもあります。そのため、バックアップとしてメモ帳や資料などの紙で持ち歩くこと、紙に書いておくことをリスク回避に併用するというエグゼクティブも実は多く、状況によってアナログとデジタルを大変上手に使い分けている印象があります。

また、このように何でもデジタル化してくると、便利さの一方で、常にオンラインにつながっていないと不安という方が増えていることにも気づきます。便利なはずのネットが、逆に常に忙しい状況を作り出している傾向があるかと思います。
対面の会議中や食事中もスマートフォンを手もとから離すことができないエグゼクティブも珍しくありません。航空機移動の時間でさえも例外ではなく、昨今は機内でWi-Fiが使える航空会社が増えてきました。
ネット環境に関しては自分でバランスを意識して取捨選択する心がまえが必要だと痛感しています。

デジタルデータのメリットとは

さて、実務面でPCを使ったオンライン上のスケジュール管理では、「スケジュール詳細をGoogleカレンダーやMS Outlookなどに記入。リマインダーをセットしておき、スマートフォンなどのデバイスで、そのつどチェック」という方が多いのではないでしょうか。
秘書などのスタッフとの情報共有が可能で、変更も簡単。過去のデータの検索も可能なのがデジタルデータの最大のメリットです。

外出時・出張時ですらも「スマートフォンさえあればすべてのアポイントをこなせるから大丈夫」と言い切るエグゼクティブも多いと聞きます。万一、スマートフォンの不具合や紛失などがあったら? そのようなときに取る行動としては、秘書に連絡して確認、もう1台の(プライベート用の)携帯電話を使う、記憶をたどって何とかすることになるでしょうか。
自分がどのようなバックアップ対策をとるかは、スタッフと協力して備えておくのがベストでしょう。

アナログの最高峰・紙に書くことのメリットは何か

さて、上述したようにデジタル化、電子化したビジネス環境でも、とことん「アナログ派」というべき「紙に書く」習慣を持つ方は根強く存在します。

A4の用紙にメモ書きして「考える力」を鍛えることをおすすめしている、元マッキンゼーの赤羽雄二さんは著書『ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング』(ダイヤモンド社)の中で
“頭の中の発想の広がりやもやもや感は、つらつらと日記に書くよりも、1件1ページでA4の用紙に書きだしていくほうが整理しやすい”と述べています。
また、パソコンをおすすめしない理由は、手書きのほうがちょっとした図を10秒で書くことができるのに対して、Wordなどでは5分も10分かかってしまい、その間に頭の回転が止まってしまうからとしています。
スピードで、手書きに軍配が上がるのは興味深いところです。

デジタルとアナログのよいところ取りが広い視野につながる

デジタルの便利さとアナログの感覚的なところを理解したうえで、あえて両方のよいところ取りをしている方は経営者、エグゼクティブに多いような印象を受けます。
何事もバランスを取るのが上手な方はデータの取り扱いでもバランス感覚にたけているのでしょう。
普段はGoogleなどのスケジュール機能や共有フォルダできっちりとデータ管理している方が、お礼状は必ず手書きで、自分のブレーンストーミングのために手書き用メモ用紙を持ち歩いていることなど、手書きの効用を上手く生かし仕事に役立てているのは参考にしたいところです。

こういった、一見両極端な要素を使い分けることが、広い視野を持つことにつながるのではないでしょうか。デジタル・アナログの要素を柔軟に取り入れることが成功の秘訣なのではとさまざまな事例を見て考えました。

AUTHOR永田 美保子(ながた みほこ)

1長年のエグゼクティブ秘書経験を生かして、2015年より在宅秘書育成コンサルタント、コラムニスト、著者として活動中。著書「年収10倍アップの時間術」(クロスメディア・パブリッシング)大学卒業後、自動車メーカー研究所・外資系消費財メーカーのバイリンガル秘書を経て、英国へ語学留学。その後フィンランド・ヘルシンキに駐在し定期航路大型客船にてキャビンアテンダントとして乗務。帰国後は外資系企業・合弁企業を中心としてエグゼクティブ秘書業務に2014年10月まで携わり、秘書歴は通算約20年に及ぶ。エグゼクティブ秘書として担当した外国人上司の出身地は英国・米国・台湾・ベルギー・カナダ・オーストラリアなど7か国(地域)以上にわたる。日本人役員付の秘書としては、一部上場企業の代表取締役専任秘書を担当。

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