欧米型経営と日本型経営にみるビジネス手法の相違点|2017年|ニュース&コラム|転職・求人はマイナビ エグゼクティブエージェント
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欧米型経営と日本型経営にみるビジネス手法の相違点

コラム

アプローチが異なる2つの成功例

2017年6月、三菱自動車は株主総会で、昨年の1,985億円の赤字から今期680億円の黒字を見込むV字回復を宣言しました。カルロス・ゴーン氏のもとで業績を立て直した日本企業は、日産自動車に加えて2社目になります。一方で日本企業を代表するトヨタ自動車は、ゴーン氏とは異なるアプローチで世界のトップ企業の地位を獲得しています。
2つの例は、いずれもビジネスにおける偉大な成功事例ですが、その背景にはそれぞれまったく違う考え方が存在します。
まず、カルロス・ゴーン氏による日産自動車と三菱自動車の成功は「欧米型のマネジメント」の典型例といえます。ゴーン氏は自動車の販売台数、売上高営業利益率、負債額など、目標を「数値化」して発信することで、社内に取り組むべき課題や方向性を指し示しました。さらには経済指標などの外部環境の情報や、現場の社員の声を徹底的に収集し、それらを客観的な事実情報として捉え、大胆なコストカットや人材配置など、合理的な経営判断を下し、実行してきました。これらは「マネジメント」により企業の力を最大化してきた好例といえます。
一方、トヨタ自動車の成功は「日本型のカイゼン」の典型例といえます。「日本型のカイゼン」はマネジメント側から細かく指示をされるのではなく、現場の社員が自発的に知恵を出し合うボトムアップ型の取り組みです。現場の工夫により、効率的に品質の高いものを作り出すことの積み重ねを大きな成功に結びつけてきました。
どちらもすばらしい成功例ですが、そのアプローチはまるで逆といっても過言ではありません。

アングロ・サクソン型資本主義と、マネジメント経営とカイゼン経営

昔から、欧米と日本には、歴史的・文化的な違いがあるといわれてきました。たしかに、ビジネスの成功例の背景にある歴史的・文化的な違いについて教養や理解を深めることは、自身のビジネス観を広げ、成功に導くうえでも大きな助けになることでしょう。
イギリス、アメリカで多くみられるのですが、株主から直接資金を集め、株主の利益を優先する「アングロ・サクソン型資本主義」と呼ばれる考え方があります。この背景にあるのは、多くの資本を持ち、植民地支配により富を生み出してきた歴史です。彼らのビジネスの真髄が「マネジメント」となったのです。多くのエグゼクティブの皆様が学んだことがあるMBAなどの現代の経営手法も、この「アングロ・サクソン型資本主義」に根ざした欧米型マネジメントによるものです。ただし、これはフランスの経済学者ミシェル=アルベールによる定義であり、それによるとフランスやドイツは銀行(メインバンク)から間接的に資金を調達する「ライン型資本主義」で、むしろ、従来の日本型の経営と近いとされています。
また、アングロ・サクソンという言葉を、単に欧米人という意味で使ったり、カルロス・ゴーン氏をアングロ・サクソン民族と思ったりしてしまうのは、狭い了見です。ゴーン氏はフランス人でもありますが、ブラジル生まれのブラジル人でもあります(ブラジル・フランス・両親の出身であるレバノンの多重国籍です)。彼は、フランスの企業であるミシュラン社に長く在籍していました。氏より育ち、なのかもしれません。

では、日本の企業はどうでしょうか。日本人は独特の特徴を持っていると考える人が多いようです。日本は国土が狭く多くの資源を持たない国です。そのため限られた資源を有効に活用し、仕事を効率化し生産性を上げていくことに知恵を絞ってきた歴史があります。これが効率化や生産性向上の手法が発達した背景の1つであり、その最たる例が日本の製造業で生まれた「カイゼン」です。日本人だから、というよりは、これも環境から必要に迫られて、と考えるべきでしょう。

役割やビジネスシーンに応じて、歴史や土地に学ぶことがある

ビジネスでは業種やその人の役職により、必要となる視野や考え方は異なります。エグゼクティブには、より幅広い観点でビジネスを見ていくことが求められることでしょう。
M&Aや組織体制の一新により、業績回復や事業拡大を図る場合は、トップダウンによるコストカットや、大胆な組織改革や新たな人材登用などのように欧米型のマネジメント力が必要となるでしょう。一方、店舗や工場などを任され、限られた経営資源のなかでより高い成果を上げる必要がある場合は、小集団活動からのボトムアップや、5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)の徹底も含めた、日本型の「カイゼン力」が役に立つでしょう。

エグゼクティブの皆様も、すでにお気づきのことと思いますが、昔の日本人は「日本人と、外国人」という見方をしてきました。しかし、外国人もさまざまです。民族に考え方の論拠を求めるのではなく、歴史的・地理的な背景を知り、思考の偏りを認識したうえで、ご自身の役割やシーンに応じて最適な考え方を学び、実践しましょう。
学んだことや理論を徹底して実践する、やり抜くということが、洋の東西を問わない経営の共通点であり、同じところであるといえるでしょう。

AUTHOR浜野 清治(はまの きよはる)

経済産業大臣登録 中小企業診断士。大手企業の経営企画部門にて事業ビジョンやプロダクト開発戦略の策定業務に従事。中小企業診断士として、小売業、サービス業等様々な中小企業やNPO法人向けの事業計画策定支援、業務プロセス改革、営業力強化等の経営支援を実施。企業経営やマーケティングに関する記事を多数執筆。

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